さいたま赤十字病院 循環器内科ロゴ 循環器内科・心臓血管外科

TEL. 048-852-1111(代)

〒330-8553 埼玉県さいたま市中央区新都心1番地5

休診日/土・日曜日・祝祭日・年末年始(12/29~1/3)・創立記念日(5/15)・国民の休日

外来案内図

虚血性心疾患

診療内容・特徴

心臓カテーテル治療、なかでも経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は、1977年、スイスの医師Andreas R. Gruentzigがバルーンで冠動脈を膨らませたことに始まります。現在では第3世代とされる薬物溶出ステントを用いた治療と、それに際してのさまざまな医療機器の進歩もあり、多くの患者様に安心安全な治療を提供することができるようになりました。

当院では1981年から冠動脈造影を含む心臓カテーテル検査が開始され、その積み重ねた経験と実績は医療機器の進歩を十分修飾しうるものになり、より適切で安全な医療を提供することができています。現在では夜間休日含む24 時間365 日いつでも対応可能な緊急カテーテル検査・治療体制を整えており、地域の皆様に少しでもお役に立てるよう尽力しております。

また、当院では冠動脈インターベンションで培った技術を生かして、末梢動脈(内頚動脈、鎖骨下動脈、腎動脈、下肢動脈)のインターベンション治療(EVT)にも積極的に取り組んでおります。

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虚血性心疾患

心臓の働きって?

人間が生きていくためには体のすみずみまで十分な酸素や栄養が行き届くことが必要で、運搬役をしてくれるのが血液です。その血液を全身に送り出すポンプの働きをしているのが心臓です。心臓一回の収縮で約70cc、一日におおよそ10万回絶え間なく収縮するとされていますから、一日になんと7000リットルもの血液を送り出してくれていることになります。心臓の大きさはだいたい握りこぶし大くらい、小さな臓器が生きるために大切な働きをしてくれています。
絶え間なくポンプを駆動させるためにはエネルギーが必要です。
ですからポンプ(心臓)にむけてエネルギーを届ける専用の血液の通り道が存在しています。この通り道のことを、冠動脈、といいます。冠動脈は、心臓のポンプの働きで送り出された血液が最初に通る大通り(大動脈)からすぐのところで分岐する脇道に相当します。つまり、心臓は新鮮な血液をいちばんに受け取っているのです。
冠動脈、すなわち大動脈からの脇道は左右に2本あり、さらに左の脇道は2本にわかれますから、計3本の主要な通り道となって心臓の筋肉(心筋)にエネルギーを送っています。 ちなみに、冠動脈は心筋の周りをまるで王冠のようにぐるりと覆っていることから名付けられました。

 

虚血性心疾患とは?

人さて、前述のとおり、心臓は周囲を取り巻いている冠動脈を通してエネルギーが供給されています。ですから、冠動脈が狭窄(細くなること)ないし閉塞(詰まること)すれば心筋へのエネルギーは不足し、ポンプ機能は破綻します。その表現型として、胸部絞扼感(胸の重だるい感じ)や息切れ、冷や汗、といった症状が出現、われわれに危険信号を送ることになります。この、冠動脈の狭窄による症状出現を狭心症、閉塞により心筋がエネルギー不足に陥り壊死してしまう事態を心筋梗塞と呼び、それらをあわせて虚血性心疾患と呼んでいます。

 

虚血性心疾患の治療法は?

心エコー、運動負荷心電図、冠動脈CT、心筋シンチグラフィー、ホルター心電図など各種検査を併用して診断に至ります。さらなる精査が必要、と判断した場合には、心臓カテーテル検査などの入院検査を推奨しています。

 

虚血性心疾患の診断は?

治療としては、薬物療法と血行再建があり、適宜併用して行われます。血行再建については、循環器内科で行う経皮的冠動脈インターベンション(PCI)と、心臓血管外科で行う冠動脈バイパス術(CABG)があり、患者様の背景疾患、年齢、病変性状、などを考慮し、当院ではハートチームとして協議のうえ方針を決定し、患者様に最適な医療を提供しています。

 

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)

穿刺(針を刺すこと)からの治療概要図

 

・穿刺(針を刺すこと)は全身麻酔を必要とせず局所麻酔下で行います。
・穿刺部については、橈骨動脈(手首)、肘動脈(肘)、大腿動脈(足のつけ根)があり、病変の性状にあわせて使い分けています。
・出血合併症などの観点から、病変の性状が許せば橈骨動脈(手首)からのアプローチが第一選択となっています。

 

治療で用いる主な医療機器

バルーンやステントサイズの決定に際して、病変性状の詳細な情報収集のために、PCI 手技中に、血管内超音波検査(IVUS)や冠動脈光干渉断層撮影(OCT/OFDI)といったデバイスを用いて、冠動脈の詳細な情報収集と治療戦略の決定を行っています。

 

治療で用いる主な医療機器

カテーテル先端内部の振動子が高速に回転しながら超高速波を血管壁にあて、超音波の反射(エコーの時間と強さを元に、血管内の様子を画像として書き出します。 (血管内超音波画像診断装置 IVUS 画像取得のイメージ)

出典 TERUMO JAPANのホームページより転載

 

治療で用いる主な医療機器

出典 TERUMO JAPANのホームページより転載

 

さまざまなアテレクトミーデバイス

高度石灰化を伴っていたり、血栓閉塞をきたしていたり、プラーク(血管の壁にへばりついている脂肪の塊、動脈硬化の進行によって拡大します)が動脈壁に偏在していたりなど、冠動脈の病変性状はさまざまです。

当施設では、病変性状にあわせて、ロータブレーター、オービタルアテレクトミー、ディレクショナルコロナリーアテレクトミー、レーザーアテレクトミーなど、さまざまなデバイスを用いた質の高い治療を提供しています。

アテレクトミーデバイス

出典 Boston Scientificのホームページより転載

アテレクトミーデバイス

出典 メディキット株式会社のホームページより転載

アテレクトミーデバイス
アテレクトミーデバイス

当院の特色

24時間365日いつでも対応可能な救急医療体制

虚血性心疾患のうち、とくに急性冠症候群と呼ばれる急性心筋梗塞(冠動脈が詰まって心筋が壊死しつつある状態)や不安定狭心症(いまにも冠動脈が詰まりかけている状態)といった超緊急疾患に対しては、できるかぎりはやくの血行再建が必要となります。
当科では1981年(昭和56 年)12月より冠動脈造影を含む心臓カテーテル検査を開始しました。
現在では夜間休日含む24 時間365 日いつでも対応可能な緊急カテーテル検査・治療体制を整えており、地域の皆様に少しでもお役に立てるよう尽力しております。

治療で用いる主な医療機器

・IMPELLA:補助循環用ポンプカテーテル
・PCPS:経皮的心配補助法
・IABP:経皮的大動脈バルーンパンピング

 

血行動態が破綻した重症心不全や心原性ショックに対して、上記デバイスを用い血行動態の改善を図ることで、治療成績が改善する可能性があります。当院では積極的に上記デバイスを使用することで、ひとりでも多くの重症患者様を救うことを目指しています。

 

ドクターカーの運用について

ドクターカーの運用について

2016 年(平成28 年)4 月1日よりドクターカーの運用を開始いたしました。

急性心筋梗塞などで早期に医師による医療行為を要すると判断した場合、消防本部からの要請を受けて、消防車出動と同時に、当院からは医師、看護師が同乗したドクターカーが救急現場に出動します。

これにより、救急救命士では行うことのできない医療行為を迅速に行うことが可能になりました。これにより、重篤な患者の治療を行える事になり、高度障害が残らず社会復帰できる割合が増すと考えられます。

現在年間2000件以上の出動実績があり、うち4分の1程度が胸痛などの虚血性心疾患を疑う症状に対しての出動となっており、急性期医療への橋渡しとして重要な役割を担っています。

 

末梢血管疾患

冠動脈の狭窄・閉塞による心筋へのエネルギー不足は虚血性心疾患といい、特に労作時の胸痛や息切れを引き起こすことがあります。

下肢の筋肉への栄養血管である動脈が狭窄・閉塞した場合には、特に労作時に足がだるくなったり、ふくらはぎが痛くなって歩けなくなったり(これをといいます)することがあります。下肢の栄養血管である動脈の狭窄・閉塞を閉塞性動脈硬化症(ASO)といいます。

治療としては、運動療法(できる限り歩くこと)、薬物療法、血行再建、が挙げられ、ASO の診断となった場合、まずは前2者の運動療法、薬物療法が選択されます。それでも改善が見込めず、歩行時疼痛のために歩行距離が稼げなくなったり安静時にも下肢疼痛が出現するようになった場合には、病変性状によっては血行再建が適応となります。

血行再建にはカテーテル治療とバイパス手術があり、適応が許せば、切らずに治す治療であるカテーテル治療が選択されます。

ASO は放っておくと、足の色が悪くなり潰瘍や壊死(栄養不足で筋肉が腐ること)を引き起こしてしまうことがあり、場合によっては足の切断が必要になる事態ともなりえます。症状でお困りの方がいらっしゃいましたら、いつでも当科にご相談ください。

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受診のご案内

当院は紹介制とさせて頂いており、受診の際はかかりつけ医の紹介状をお持ちください。

 

曜日ごとの担当医

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*木曜日はペースメーカー外来です。
*疾患や外来の状況に応じて、上記医師以外が対応させて頂く事が御座います。

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